抜粋:
- 国民の9割以上が将来の食料に不安を持ち、食料自給率を高めるべきだと思っている。しかしこの指標は農水省の省益を誘導するためにつくり出されたものだ。
- 農水省が行っている「食料自給率」とは政策目標としては全く無効である。全く意味がない「カロリーベース」であるからだ。
- この「カロリーベース」の自給率計算式では、4分の1にも上る流通過程でも食品廃棄ロスが自給率の引き下げに計算される。本来の概念ではない。一人あたり農産物輸入額で国際比較をすると、一位は英国、二位はドイツ、三位はフランス、日本はフランスの半分で米国と大差はない。対GDPの農産物輸入比率を見ても全く同順で、日本は0.9%と、国力に占める輸入食料負担は大きくない。それどころか、日本は国内農業生産額で世界第五位の農業大国である。(注:食料品価格が高いからそうなるんだろうね)
- 食料自給率を高めるには、農水省の計算方式では食料輸入をゼロにすればいい。国民は飢えるが「食料自給率」はただちに100%となり、めでたしめでたしである。計算式自体がおかしい。生活実感にも即していない。野菜のカロリーが少ないために国産野菜は重量出荷額では8割以上を占めるに拘わらず自給率には反映されない。畜産酪農品の場合、供給カロリーに飼料自給率を乗じて計算されるため1000頭以上の豚を飼育してハム・ソーセージを作る有数の事業者でも飼料が輸入と言うだけで農水省の食料自給率への貢献は「ゼロ」。
- そもそも「食料自給率」などを計算して政策の根拠としている国はニッポンだけ(日本の植民地だったことがあり「農村利権」が日本同様に強い韓国では一部で使われているが)。農水省の発表する各国食料自給率なる統計は彼らが勝手に計算したもの。農水省にその計算根拠を問うと「食料安全保障の機密上公開できない」とのこと。理由は「戦争に備えるため」と農水省はいう。「外務省と農水省の立場は違う」(農水省)ので、農水省は政府方針を無視してニッポンが戦争をすることを前提に考えているのである(注:戦争になればあいつらが一番儲かる)。
- 国際的に普通に使われている「金額ベースの食料自給率」では、日本の自給率は66%となる。農水省は金額ベースの自給率国際比較を断固として公表しないが、計算すると日本の66%は「世界ナンバーワン」となる。
- カロリーベースの食料自給率は国民に食料輸入増に対する不安を訴えるために意図的に農水省が仕組んだものだ。今年17億円もの予算を計上して国民に対する広告作戦(洗脳作戦)を展開している。全国紙誌に全面広告を打ったほか、芸能人やオリンピック選手まで担ぎ出して「国民のみなさん、このままでは食べられなくなるよ」といった危機感を煽るメッセージを連呼している。この作戦事務局は、最大手広告代理店内にある。
- 目的は、農水省と農協と天下り団体が何らの努力をしなくても生き残る道を作るための農水省予算の維持・拡大にある。決め台詞が「コメの自給率100%」。これ以上作っても売れない、作っても売れないので減反せざるを得ない、国民の食料が危なくなるからお金をくれという論理。これは「タカリ制度」である。これを継続させるための隠れ蓑が食料自給率である。
筆者は「農業経営者」副編集長。現場を知り尽くしているだけに、説得力がある。一番アホなのは、テレビやマスコミの農水省肝いりの(おまけにわれわれの税金を使った)宣伝に騙されて、すっかり食い物国粋主義者となり「高くても買います、国産農産物」という風に洗脳されてしまった家庭の主婦とかの一般国民。なけなしの収入の多くの部分をあいつらに貢ぎ、さらに貧乏になってしまうのである。義憤を感じる。
6 件のコメント:
社保庁の年金徴収率水増しの逆バージョンですか。
愕然としました。
官僚はみんな良いハズの頭脳をもっと
マシな使い方が出来ないんでしょうか?
先進国はどこも多かれ少なかれ「外国産は危険です!」みたいな下らないプロパガンダを張ってるみたいですが、その中でもとりあえず一番農政がまともな国ってどこなんでしょうか?
>一番農政がまともな国
ニュージーランドでしょうか。あの米国の農業ですらニュージーランドに負けそうになっているらしい:
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C1084425330/E20070802190129/index.html
"豚肉生産業は国際競争力があり"=これはちょいと甘すぎでしょう。差額関税制度が無くば、立ち行かず。高効率化のためには最低でも一箇所あたり現在の十倍程度に規模拡大しないと。畜産品で競争力あるのは卵、かろうじて鶏肉関係だけじゃないかな。牛は論外。何であんなに脂だらけの肉を有り難がるんだか。
"豚肉生産業は国際競争力があり"……これ小生の「意訳」でした。原文では別の表現でした。差額関税で成り立っている産業でしたよね。訂正しておきます。
どうも。オーストラリアもニュージーランドも補助金無しでやってるって、すごいですね。(いや、それが普通か・・・。)オーストラリアは多少土壌がやばくなってきた、みたいなニュースをちらちら見ますが、まあそしたら輸入すりゃいいんでしょうし、逆に日本は死ぬまで関税も補助金も取っ払わないんでしょうね。
”And it makes it much harder for farmers in poor countries to compete on a level playing field against coddled farmers in the West.”
元記事のここのcoddled farmersに西洋だけじゃなくて、Japanも入れておくべきでしたね。
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